コインランドリーとクォーターコイン

町山智浩『キャプテン・アメリカはなぜ死んだか』(文春文庫)に、アメリカでは洗濯物を外に干せないというエピソードが出てくる。 キャプテン・アメリカはなぜ死んだか (文春文庫)作者: 町山智浩出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/12/06メディア: 文庫購…

砂糖と生活

喫茶店に行っては、袋詰めの砂糖を持ち帰る。大体3gくらいのものが主流で、大きい袋だと5g、6gは入っている。持ち帰った砂糖は、週末に飲むコーヒーに入れて使う。家で料理をしないので、砂糖はコーヒー用途で使われるだけ。IKEAのチャックつきのビニール袋…

甘口抹茶小倉スパ写実レポート

喫茶マウンテンに行ってきた。 名古屋市の昭和区にある喫茶店で、甘口パスタという奇妙なメニューを出すことで、インターネット界隈で絶大な人気を誇る店だ。最もスタンダードな甘口パスタが、甘口抹茶小倉スパなる緑色のパスタの上に生クリーム、あんこ、桃…

震災と言葉

東日本大震災について、未来歌稿用の短歌を何首か作った。自分にとって三月十一日とは何だったのか。自分の脳裏に浮かんだことを歌にしようと思ったが、どうもうまくいかない。 震災は、自分にとって、遠く離れた場所で起こった出来事だ。 津波が全てを流し…

失われたシステムの中で

津波被害があった地域のがれき受け入れ反対の意見に違和感を感じる。ネット上で様々な記事を読むと、議論の核となるべき論理(証明のための事実やロジック)が失われ、ヒステリックな思い込みが内容を支配しているように見える。たとえば、がれきの受け入れを…

コンサルタントと横文字文化

「このアウトプットはイシューがミッシーに洗い出せていないからもういっかい考え直して」といった横文字を使って会話をするのが、鼻持ちならないコンサルタントである。アズイズ、トゥービー、バリューといったコンサルタント文化圏で頻繁に使用される言葉…

他人のことを考えると不快になる

最近、俺は他人のことを考えすぎるのではないかと思うようになった。 身近で仕事や生活をしている人が、自分の頭の中を占拠するようになり、その人達について考える時間が長くなる。考える時間が長くなればなるほど、その人の負の面(嫌いなところ、むかつく…

伊藤左千夫の眼差し

岡井隆『『赤光』の生誕』を読んでいる。 『赤光』の生誕作者: 岡井隆出版社/メーカー: 書肆山田発売日: 2005/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 斉藤茂吉の第一歌集『赤光』に所収された「悲報来」、「死にたまふ母」といった歌の時代性…

クルマがある生活

三ヶ月に一度くらいのペースで、お客さんの工場の敷地内で自動車メーカー各社が新型車の展示会をしている。この前はトヨタのディーラーが来ていて、プラグインハイブリット仕様のプリウスを展示していた。ボンネットが開けられてエンジンなどの内部構造が見…

祖母と写真展

日曜日、祖母と二人で大阪梅田の大丸百貨店で開催されている岩合光昭の写真展に行ってきた。祖母が心斎橋の大丸百貨店で売り子をしていた頃、岩合さんの御兄弟が同じ部署で働いていたらしい。彼が撮った猫の写真が見たいというので、寒風吹きすさぶ梅田に足…

モノを買ふ土曜日

手先が不器用で、大雑把だが、机の上に置いてある本だとか、携帯電話だとか、メガネのケースの配置が気になる性質だ。埃の被ったスピーカーも、テレビ台と並行に置いてないと気になる。今パソコンを広げている机も、フローリングの木目と並行に置いていない…

自意識の問題

小さい頃に芽生える「自分は特別なんだ」という自意識は、歳を取るにつれて発酵が進み、ヨーグルトみたいにどろどろになって、やがて自分の器からこぼれ落ちる。常識が自我を押さえ、礼儀が欲望を上書き、角の無い私が出来上がる。 スティーブ・ジョブズのよ…

故郷から遠く離れて

週に5日間、名古屋に出張し、自分の家ではなくホテルに住まう生活を始めて一年半以上が過ぎた。ホテルのフロントでは名前を言わずとも、チェックインできるし、帰ってきたらすぐに鍵を出してくれる。ホテルの窓は見晴らしが良く、遠くに背の低い山があり、手…

モヤさまな日曜日

毎週日曜日の楽しみは、夜七時から放送している『モヤモヤさま〜ず2』。さまぁ〜ずの2人と東京テレビの大江アナウンサーが、主に東京各地の"モヤ"っとしたスポットを巡る旅番組である。モヤっとしている場所というのがミソで、メジャーなスポットはあえて行…

旅に出る理由

何も変わらない日常が好きだ。いつも通りの道を歩いて、いつも通りの場所に着き、いつも通りの人と会う。いつも通りの缶珈琲を飲み、いつも通りの時間にご飯を食べて、またいつも通りの道を歩いて、家に帰る。ドイツ人哲学者のカントは、毎日同じ時間に起き…

魘されて、冬

風邪をひいていた。正月実家に帰った時に、親父殿からうつされたのであろう。自分の家に帰って、2日間程喉が痛んだり、鼻水時雨に苦しんだ後、1/5に発熱。 38度強の熱が出ていた。二日酔いの朝のような頭痛がして、立っているのもままならぬ。不思議と腹は減…

いつも通りに

年が明けても、大阪は寒い。強く、乾いた風が吹き、コートの隙間から容赦無い寒さを感じる。冬が来るたびに、夏は素敵だったと思う。 明日まで休みが続くので、自分の家に引きこもって、ユニクロのパーカーを羽織り、フードまで被って、だらだらと過ごしてい…

そんな自分が嫌いじゃない

川崎の客先に常駐して働いていた時、激務からくるストレスで咳がとまらなくなったことがあった。ネクタイを締めると喉がつまるので、ゆるくノットを結んで、だらりとネクタイをぶら下げて、仕事をしていた。 帰りはいつも終電近くで、駅のコンビニで買ったサ…

音が溶けた世界で

家に引きこもり、昨日ヨドバシカメラで買った『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』をプレイした。64版よりアクションの操作性が良くなっている。ダッシュしながら壁に突っ込むと、勝手によじ登る。狭い隙間に近づくと、ヒョイとジャンプする。崖にぶらさが…

成熟した社会の退屈なワタシ

堂山町の回転寿司屋で寿司を食べ、茶屋町のカフェでコーヒーを飲んだ後、人が溢れる阪急梅田32番街を抜けて、 紀伊國屋書店梅田店に入った。 仕事術・整理術、自己啓発、古典、他ビジネス書を眺め、人文書の棚へ。内田樹、東浩紀、仲正昌樹の新刊を手に取り…

一滴

水道の 蛇口に溜まった 水滴が ワタシを映して シンクに落ちる カルピスの 瓶に溜まった 一適が 夏の終わりを 教えてくれる 味噌汁に 箸をひたして 上にあげ 落ちる水滴 それを見る祖父 目薬を さして眼を 見ひらいて 泣いてないよと 言い訳をした 仰向けに …

同僚が辞めた

同僚が辞めた。30代半ばの女性で、5年ほど前にうちの会社に入社した。昨年1月に会社を辞めてアメリカに語学留学して、1年ほどで日本に帰国した。上司の推薦があり、出戻りの形でうちの会社に再度入社したのが今年の5月。 昨年まで俺が参加していたプロジェク…

リカちゃんとワタシ(2)

サトコの家は裕福だった。 兄が一人いた。兄は国立大学の医学部を卒業して医者になった。 サトコは大学に行かなかった。高校を卒業した後、家を飛び出して、恋人のサトシと同棲を始めた。 『家は窮屈だし、退屈だった。ワタシの居場所は無いと思った』 リカ…

叙情は文語体で

金曜日、名古屋から大阪に戻り、梅田の紀伊国屋に寄った。キャリーバックを引っさげて、過疎化した詩・俳句・短歌の棚に向かうと、塚本邦雄『西行百首』(講談社文芸文庫)が平積みされていた。 西行百首 (講談社文芸文庫)作者: 塚本邦雄出版社/メーカー: 講談…

リカちゃんとワタシ

サトコとリカは手をつないで歩いた。 道はどこまでも平らで、どこまでも続いていた。 サトコは鞄の中からANNA SUIのリップグロスを取り出して、リカの頬っぺたに、忍者ハットリくんのような渦巻きを書いた。 『どう、アフリカの儀式』 サトコはケタケタと笑…

大体おそらく8割方はネガティブ

ツイッターで毎日つぶやいている。以前は短歌だけをつぶやいていたが、今は日常のよしなしごとを、思いついた先から、ぽんぽんと放り投げるようにつぶやいている。ホロワーと会話することはあまり無いので、本当に一人でつぶやいていることが多い。 思いつい…

佇む人

今朝、仕事場のプリンターが断末魔の悲鳴のような音を上げて、紙が詰まった。あっちゃこっちゃで紙が詰まるおんぼろプリンターだが、今朝のような音がしたのは始めてだ。思わず同僚と、 「え、マジ? 遂に死んだ?」 などと言っていたのだが、詰まっていた紙を…

ミックスフライ

メシを食べに行って、メニューに『ミックスフライ』と書かれていたら、ミックスフライを注文したくなる。 ミックスフライの中身は店によって様々だ。エビフライが入っていることは多い。白身魚のフライも同じく。カニクリームコロッケやホタテフライなど、素…

バーベキュー

バーベキューといえばサッポロポテトだ。スナックの一枚一枚が親指ほどの大きさで、網状になっていて、触感はやわらかい。"ばーべQ"と冠したフレーバーは、コイヤケのポテトチップスほど味の主張は強くないが、やみつきになる独特のコクがある。小さい頃、ス…

秘密主義

今の職場は、会議室一室をプロジェクトルームみたいに使っていて、長いテーブルに4人がノートパソコンを広げて仕事をしている。西側に上司&先輩が3人、東側には俺一人。皆向かい合わせで仕事をしているので、互いの顔は見れるが、パソコンの画面が何かは分か…