考察

失われたシステムの中で

津波被害があった地域のがれき受け入れ反対の意見に違和感を感じる。ネット上で様々な記事を読むと、議論の核となるべき論理(証明のための事実やロジック)が失われ、ヒステリックな思い込みが内容を支配しているように見える。たとえば、がれきの受け入れを…

コンサルタントと横文字文化

「このアウトプットはイシューがミッシーに洗い出せていないからもういっかい考え直して」といった横文字を使って会話をするのが、鼻持ちならないコンサルタントである。アズイズ、トゥービー、バリューといったコンサルタント文化圏で頻繁に使用される言葉…

伊藤左千夫の眼差し

岡井隆『『赤光』の生誕』を読んでいる。 『赤光』の生誕作者: 岡井隆出版社/メーカー: 書肆山田発売日: 2005/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 斉藤茂吉の第一歌集『赤光』に所収された「悲報来」、「死にたまふ母」といった歌の時代性…

クルマがある生活

三ヶ月に一度くらいのペースで、お客さんの工場の敷地内で自動車メーカー各社が新型車の展示会をしている。この前はトヨタのディーラーが来ていて、プラグインハイブリット仕様のプリウスを展示していた。ボンネットが開けられてエンジンなどの内部構造が見…

自意識の問題

小さい頃に芽生える「自分は特別なんだ」という自意識は、歳を取るにつれて発酵が進み、ヨーグルトみたいにどろどろになって、やがて自分の器からこぼれ落ちる。常識が自我を押さえ、礼儀が欲望を上書き、角の無い私が出来上がる。 スティーブ・ジョブズのよ…

成熟した社会の退屈なワタシ

堂山町の回転寿司屋で寿司を食べ、茶屋町のカフェでコーヒーを飲んだ後、人が溢れる阪急梅田32番街を抜けて、 紀伊國屋書店梅田店に入った。 仕事術・整理術、自己啓発、古典、他ビジネス書を眺め、人文書の棚へ。内田樹、東浩紀、仲正昌樹の新刊を手に取り…

自分の芸術と向き合う

「御堂筋バスターズ」という題の小説を書いている。4000字ほどのEp.2を執筆するのに2週間近くかかった。エッセイならすらすらと筆がすすむが、物語は遅々として進まない。 エッセイは自分の感情や知識から形作られる世界観が文章を引っ張る。物語は、自分で…

1700文字の海

文章を読んで没頭する。目に見えるものも、耳に聞こえるものも、全てが一度意識の彼方に消えて、文字の羅列と、文章が想起させるイメージが目の前に広がる。ふと、集中が途切れて我に変えると、文章を読む前とは全く違う気分になっている。つまらないことに…

システムは神じゃない

お気に入りのブログが原発に関するニュースについて書いているのを見る度に嫌になる。決まって語調が重く、文に生気は無い。原発を天から降った厄介のように、自分の力ではどうにもならぬこととして扱う。原発を呪い、唾棄する。 それは違うだろう。原発事故…

地震の記憶

9歳のときに阪神大震災を経験して以来、地震でもないのに自分が揺れているような錯覚に陥ることがある。ふとした時に、ゆらりと脳が揺れ、体が平衡を保てなくなる。地震だと思い、体を小さくして神経を研ぎ澄ませる。壁が軋んでいないか耳をすまし、カーテン…

朝目覚めるために毎晩僕は夢を見るのです

毎日途切れなく連続している日々というのは恐ろしい。仕事を終えて家に帰る。風呂に入る。寝る。起きる。髭を剃って歯を磨き、支度をする。仕事に行く。仕事をする。仕事を終えて家に帰る…。 朝と夜が一つの線で結ばれると、自分の尻尾を飲み込む蛇の如く、…

トイレの神様

ホテルに泊まって最もうんざりするのは風呂だ。俺は湯船につかる習慣が無く、毎日シャワーで済ませてしまうのだが、風呂に執着がない俺でもユニットバスというのは許しがたいものである。 汚れた体を洗うための場所と人が汚れたモノを排出する場所が同じ空間…

ことばのセンス

工場の生産効率化・合理化を進める合言葉で『ムダ・ムラ・ムリ』というのがある。それぞれ ・ムダ: 不必要で勝ちを生まない活用 ・ムラ: 攪乱要因となる変動 ・ムリ: ムリな計画、作業標準 という意味で、トヨタ生産方式はこれらの3つの『ム』を減らし現場改…

学歴パンチ

学歴なんて意味が無い、と口にするのは低学歴の人である。いわゆる床屋談義で、命題に根拠が無い。社会に出たら学歴なんて関係無い、についても同じである。会社でのパフォーマンスは『必ずしも』学歴の高さと相関関係に無い、という事実の部分を拡大解釈し…

私の集中力持続法

学生の頃からどうすれば深い集中力を得られるか、またそれを持続させることができるかを考えている。椅子に座り、パソコンのキーボードに手を添えて、さて何かを書こうという時に、一番問題となるのは自分の前に立ちはだかる作業に取り組むための集中力であ…