2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

一滴

水道の 蛇口に溜まった 水滴が ワタシを映して シンクに落ちる カルピスの 瓶に溜まった 一適が 夏の終わりを 教えてくれる 味噌汁に 箸をひたして 上にあげ 落ちる水滴 それを見る祖父 目薬を さして眼を 見ひらいて 泣いてないよと 言い訳をした 仰向けに …

同僚が辞めた

同僚が辞めた。30代半ばの女性で、5年ほど前にうちの会社に入社した。昨年1月に会社を辞めてアメリカに語学留学して、1年ほどで日本に帰国した。上司の推薦があり、出戻りの形でうちの会社に再度入社したのが今年の5月。 昨年まで俺が参加していたプロジェク…

リカちゃんとワタシ(2)

サトコの家は裕福だった。 兄が一人いた。兄は国立大学の医学部を卒業して医者になった。 サトコは大学に行かなかった。高校を卒業した後、家を飛び出して、恋人のサトシと同棲を始めた。 『家は窮屈だし、退屈だった。ワタシの居場所は無いと思った』 リカ…

叙情は文語体で

金曜日、名古屋から大阪に戻り、梅田の紀伊国屋に寄った。キャリーバックを引っさげて、過疎化した詩・俳句・短歌の棚に向かうと、塚本邦雄『西行百首』(講談社文芸文庫)が平積みされていた。 西行百首 (講談社文芸文庫)作者: 塚本邦雄出版社/メーカー: 講談…

リカちゃんとワタシ

サトコとリカは手をつないで歩いた。 道はどこまでも平らで、どこまでも続いていた。 サトコは鞄の中からANNA SUIのリップグロスを取り出して、リカの頬っぺたに、忍者ハットリくんのような渦巻きを書いた。 『どう、アフリカの儀式』 サトコはケタケタと笑…

大体おそらく8割方はネガティブ

ツイッターで毎日つぶやいている。以前は短歌だけをつぶやいていたが、今は日常のよしなしごとを、思いついた先から、ぽんぽんと放り投げるようにつぶやいている。ホロワーと会話することはあまり無いので、本当に一人でつぶやいていることが多い。 思いつい…