親の心

客先の情報システム部の管理職は、親会社からの出向社員が生え抜きの熟年社員にとってかわった。新しく来られた方と先日会議で同席し、初の顔合わせとなった。


『ねえコンサルさん、この会社って、管理も何もできてないでしょう。』


出向社員しか会議に出席していないのをいいことに、皆好き勝手を言う。


『この会社ではコンサルさんが仰るような高尚な管理はできないんですよ。馬鹿ばっかりだから。』


馬鹿というに及んで、少しカチンと来た。グループ会社の人間に向かって頭ごなしに馬鹿とはなんだ。


『役員連中も馬鹿が揃っているから銭勘定ができない。』


子会社の人間をけなしながら、親会社の出向社員は高みの見物。鉛筆を舐めながら、親会社に戻った後の出世レースの算段を立てる。胸が悪くなるような構図だ。


子供が馬鹿であるというならば、一因は親に帰するべきである。経済成長期の過剰投資で高コスト体質になっているのは親も子も同じだ。子が親を見て成長した結果がこれである。


出向社員もヘルメットをかぶり、安全靴を履いて、現場にコミットしてほしい。高みで見物しながら愚痴を言い、接待を受けるだけの出向生活はつまらんでしょう。いつか、地獄の底から鬼共が這い上がってきますぜ、大将。


【今日の短歌】
ああ無情 スリッパ履きたる 課の長は ソリティアをして 定時に去りぬ