食堂につき

昼・晩二食を出向先の工場の食堂でお世話になっている。値段が最も安いA定食から、B定食、C定食まで値段に応じてメニューのグレードが変わる定食類のほかに、丼、うどん、そば、ラーメンがある。社員割引で実値の半額になるので、値段もお手ごろである。一人暮らしのリーマンにとって、社食は非常に助かる。


大阪住まいだが、出向先の工場は名古屋なので、土地の名物なんかも出る。味噌カツにエビフライ、ひつまぶしは出ないが、うな丼は月に一度くらい登場する。市井の飲食店より値段は断然安く、味もおいしい。食堂を管理する栄養士さんが優秀なのだろう。


食堂のメニューにはそれぞれのカロリーが表示されている。豚の角煮が食べたいが、1,000kcalもあるので、今日はなすの揚げびたしにしておくか、といった具合である。


まだまだ若い(?)身空で健康ばかり気にして食事をするのもむなしいが、カロリー表示というやつが曲者で、メニューを見ると、どうしても目が行ってしまう。680kcalのA定食と840kcalのB定食であれば、Bを食べても良いか、と自分を納得させられるが、1000kcalを超えた定食には、おいそれと手が伸びない。1000kcalのラインが、超えてはいけない三途の川に思えてくる。


俺は食堂に非常に満足しているのであるが、この前昼飯を食べているときに隣の席のおばさん2人がメニューに愚痴を言っているのが聞こえてきた。


『この酢の物、水っぽいわ。副菜が1種類しか余ってなかったらから、仕方なく選んじゃったんだけど。』

『いつも同じメニューで飽きちゃった。一昨日も同じ酢の物だったわ。』


1ヶ月くらいのサイクルで、高確率で同じメニューが登場する。といっても、A〜C定食まであるので、1月に一回、必ず同じメニューを食べることもない。贅沢もほどほどにしろ、と思っていると、おばさんがまたしゃべり始めた。


『もう40年以上、この食堂で食べてるものねー。』

『そうねー。』


定年間近のベテランさんでしたか。なんか、すんませんでした。


【今日の短歌】

健康は 仰げば尊し エレベーター 使わず階段 上る早朝