人類捕食系マンガ

マガジンで連載している『進撃の巨人』が、このマンガがすごい!のオトコ編で1位になった。人間を襲い、捕食する巨人が出てくるマンガである。普段は別冊少年マガジンで連載されているが、番外編が先週号の週刊少年マガジンに掲載されており、コンビニで立ち読みしていて、初めてこのマンガを知った。


進撃の巨人(3) (講談社コミックス)

進撃の巨人(3) (講談社コミックス)


絵柄を見て、藤田和日郎の新しい連載かな、と思ったが、作者名を見ると違う。作者の諌山創はこのマンガが初めての連載らしい。


初めて読むので、背景も今までのストーリーも全くわからない。調査兵団と呼ばれる軍隊の小隊が、巨人なる化け物に襲われ、命からがらそこから逃げ出した一人の女も、ついに違う巨人に捕まってしまう。しばし女と巨人のやりとりがあり、巨人が急に、顔面に指を這わせ、皮膚をべりべりと剥き始める。(なじむ。実に!なじむぞ)


フェイシャルマッサージにいそしむ巨人の隙を見て女は逃げ出すが、巨人はすぐに立ち直り、女を捕まえる。そして…。


喰った!!


女の頭を口に頬張り、歯で頭蓋を砕き、むしゃむしゃと女を食べる巨人。俺はコンビニでマガジンを持ったまま呆然としてしまった。


最近、人間を捕食する生物が出てくるマンガをよく見る。GANTZに出てくる人に似た宇宙人は、捕らえた人間を踊り食いするし(腹を割って内臓を取り出し、湯気のたつタレにつけて食べるというグルメっぷり)、バキに出てくる原人ピクルは烈海王の足を食うし、ハンターハンターに出てくるキメラアントは人を肉団子にして食うし…。


食う、食われるという関係は、どちらが弱者であり、どちらが強者であるかを明確にする。捕食という動作により抗えない服従の関係が築かれる。この関係の上に立つ者は絶対的な強者である。


捕食するという表現は、物語に登場する生物をより強大に見せる一つの有効なテクニックである。53万の戦闘力より、メラゾーマのようなメラより、もっと原始的で、より生理的なレベルで、誰が強者であるかを決定的に印象付けることができる。


やはり一番ショックを受けるのは、人に似た生物や、人語をしゃべる生物が人を捕食することだろう。鮫や恐竜に人が食われるシーンは恐ろしくはあるが、ショックでは無い。


人に似た生物、または人語をしゃべる生物が人を捕食するマンガを『人類捕食系マンガ』というジャンルにしてはどうか。探せば該当するマンガは色々とありそうである。アンパンマンは、人語をしゃべる生物が捕食される側なので、このジャンルには該当しない。


【今日の短歌】
化け物よ! お前の血となり 肉となる 私の愛を 生涯抱け!