多層階構造
20世紀前半、フォード社が主力生産拠点としていたハイランドパーク工場は多層階構造だった。各階に生産工程が配置され、資材が各階を移動しながら処理されていた。重い資材や在庫、生産設備を配置しないといけないので、工場は鉄筋コンクリートで建築されていた。
フォードは多層階工場内で資材を上下移動させること、当時導入を開始したベルトコンベアによる移動式組み立てラインを多層階に張り巡らせることがライン編成には非効率であると判断し、強度の低い建材を使った平屋建て工場の建築を始めた。平屋建ての場合、上層階を支える柱がいらないため、広い敷地に大きな生産設備を自由なレイアウトで配置することが可能になった。土地面積という制約がなければ、平屋で生産するほうが、生産性があがるのである。
しかし、住宅でも多層階構造にして居住面積を確保しようという日本の土地事情を鑑み、こんな本もある。
多層階工場レイアウト入門―国内回帰する工場のあるべき姿をめざして
- 作者: 藤川裕晃
- 出版社/メーカー: 工業調査会
- 発売日: 2005/12
- メディア: 単行本
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研究開発や事務機能を設備と同じ建物に配置し、工場をよりコンパクトにする、少ないスペースにいかに機能を詰め込む、ということをテーマにした非常に日本的な研究である。
そんなことを考えていたら、ふと、先々週に見たマトリックスを思い出した。たしか、人工知能(敵)が人間をカプセルで培養してエネルギーを抽出する工場は、すごい高さの多層階構造だった。これは、設備稼働に必要なエネルギーの観点からすると(例えばカプセルの移動にかかるエネルギー)、非効率的なような気がする。
ふふふ、人工知能達の営業所(?)に資料を持って行って、
『建物を平屋にすることで培養プラントの数を20%削減し、御社のエネルギー生産性を13%改善させることができます。平屋建て改築に必要な投資費用の回収期間はおよそ10年で…』
とかなんとか、コンサルティングの提案に行ってやろうか。
受注額はいくらかしら。2兆円くらいかしら。でも、提案の道すがら、クラゲみたいな機械に爆弾を投げられて、死んじゃうかしら。