一曲の重み

ブラタモリというNHKでやっている番組が好きで良く見ていた。タモリが一つの街を古地図を持って歩き、その街に残る建物や地形から、昔の街の面影を紹介する旅番組だ。


特に好きだったのが井上陽水が歌うエンディングテーマだった。『MAP』という曲で、井上陽水が親友のタモリのために書き下ろした曲らしい。メローで、メロディアスで、番組の落ち着いた雰囲気にあった綺麗な歌だった。


エンディングで流れるフレーズだけではなくて、フルフレーズで聴いてみたいと思って、何度もネットで『MAP 井上陽水』とか『MAP youtube』というキーワードを検索した。井上陽水のオフィシャルサイトを見ても、ブラタモリのエンディングで使用されているという情報以外の情報は掲載されていなかった。知恵袋の書き込みでようやく、この曲はシングルカットされていないことを知った。書き込みによると、今後もリリース予定もないとのことだった。


こんなに良い曲なのに、フルフレーズ聴けないなんて…。


最近、これはいいな、という曲があればすぐにYoutubeとかニコニコ動画で検索する。あまり名の知られていないアーティストでも結構な確立で目当ての曲までたどり着ける。いつでも検索すれば聴けるから、と思っているから、一曲の価値が凄く軽い。


でも、聴けないとわかると恋しさはつのるばかり。エンディングで流れる時はいつも曲がフェードインしてくるので、どんな序奏なんだろう、とか、二番はどんな歌詞なんだろう、とか、いろいろ考える。勝手にフレーズを想像してみたりする。


そんなもやもやした思いを半年ほど続けていた折、ついに今月発売の井上陽水の新しいアルバムに『MAP』が収録されることを知った。

魔力

魔力


序奏が聴ける、二番が聴ける、フルフレーズが聴ける。遂に思いが遂げられる。


CDのリリースがこんなに待ち遠しいなんて。そして、素敵なことを待っていることがこんなにも楽しいなんて。


さて、平日は開店時間内にCDショップにいけないので(泣)、今週末、タワーレコードにでも行って購入しようかしらん。そして、お茶でも飲みながら、井上陽水のねっとりとした歌声を聴こうかしらん。そんな楽しい想像をしながら、鼻炎で鼻をかみかみ、明日からの出張の準備をする、秋の夜長なのです。


【今日の短歌】
ビニールを はがしてディスクを 入れるまで 心は踊る 夢のワルツに